建設会社がやっている仕事の中には、土地オーナー(地主)さんに対する土地活用の提案営業というものがあります。
これは建設会社が土地オーナーに対し、「その土地に建物を建てませんか?建てるならうちの会社にご依頼ください」と営業するものです。
建設会社は大手不動産会社が建てる分譲マンションを建設したり、商業ビルや戸建住宅など様々な建物を建設します。この「土地活用の提案営業」のターゲットはいわゆる地主さんです。賃貸アパートや賃貸マンション、ロードサイド店舗などの建設を受注することを目的としています。
この仕事、求人サイトなどではよく見かけますが、いったいどんな仕事をしているのかよく分からないという人も多いことでしょう。
ここでは、土地オーナー(地主)さんに対する土地活用の提案営業がどんな仕事なのかを紹介します。
地主さんは土地を有効活用する
土地オーナー(地主)さんは、土地をただ所有しているだけではなく建物を建てることが多いです。
所有している土地の場所に応じて、賃貸アパート、賃貸マンション、商業ビル、ロードサイド店舗などいろいろなものを建てています。普段あなたが利用しているロードサイド店舗(コンビニやファミレス)や借りているマンションも地主さんが建てている建物かもしれません。
法人が建てる建物も多いですが、地主さんが建てている建物も世の中にはたくさんあるんです。
地主さんが建物を建てるのは資産運用であったり相続対策、税金対策などいろいろな理由があります。
こうした土地を空き地のままにしておかないで、有効に利用しようとすることを「土地活用」だとか「土地の有効活用」「有活」といいます。
地主さんに土地活用、土地の有効活用(有活)を提案するのが建設会社の土地活用の提案営業ということです。
地主さんに企画提案する
建設会社の土地活用の提案営業の最終ゴールは建設工事の受注です。
そのために土地の活用を提案するわけです。
提案では地主さんが建物を建てることでどのようなメリットがあるのかを説明します。資産運用になる根拠や需要があることを提示し投資として魅力があること、相続税対策になることなどを説明することがあげられます。
そして実際に建物の簡単なプラン(図面)を作成し、収支を計算、提案します。
地主さんがそれにメリットを感じ、建てると決心し工事が受注できれば営業の仕事は達成されます。
仕事内容は?
提案することは分かったけどあまりイメージできないという人もいるでしょう。
もう少し詳しく仕事内容を紹介したいと思います。
顧客を探す
提案する前に顧客を探さなくてはいけません。
方法は大きく分けて2通り。
1つは土地から探す方法です。「この土地は需要がありそう」という土地の所有者を調べます。これは謄本を取ることで誰でも調べることができます。
この場合、その土地オーナーがどんな人か、建物を建てる気があるのかがまったく分からず、すぐに仕事になるというわけではありません。1から人間関係を築き、時間をかけてしっかりと提案する必要があります。
大きな会社の場合、地主さんの情報管理ができている場合もあるので、1から自分で探し出すことはないかもしれません。
もう1つは不動産会社や銀行、農協などから建設を考えている地主さんの情報を集める方法です。
この場合は土地オーナーが建物を建てる気になっているので、契約までの道のりが短めといえます。土地オーナーとの間に紹介者が入る分、関係も近くなりやすく提案しやすくなります。
この2つの方法に加え、もう一つあげるとすれば既存顧客への営業があります。土地オーナーは1棟建てれば終わりということではなく、2棟3棟と建てる場合もあるので既存の顧客への営業も大切な仕事のひとつとなります。
提案する
土地オーナー(地主)に対してメリットのある提案をします。
提案としては、まわりにどんな人が住んでて何が求められるか(どんな需要があるか)を説明したり、簡単な図面や模型でイメージしやすくしたり、建てることで収入と支出がどうなるのか、税金についての考え方など多岐に渡ります。
そのため、不動産の知識や建築の知識、税金の知識などを知っておくと提案がしやすく、地主さんにも安心感を与えることが可能です。
営業担当者の中には宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーの資格を所持している人も多くいます。
他社との競争に勝つ
1社からしか話を聞かないという土地オーナー(地主)さんはいません。
複数の会社から提案を受け、その中からよりいい(安い)提案を選びます。
そのため、提案はとても大事なもので、入居予定のテナントを紹介できたりサブリースの提案、融資の提案など他社との違いを出す必要があります。
また、提案も大切ですが人間関係の構築も大切なので、会社によっては地主さんや銀行や不動産会社などの利害関係者に対する接待もあります。
受注し工事着工
提案競争に勝てば契約に向けて動き出します。
設計の開始、工事の着工と進んでいくことになるので、営業の仕事は一応終わり引き継ぎが行われます。(会社によって業務分担は違います。)
やりがい
こうした大変な仕事でもやりがいがあるから続くものです。
建物は住居であったり、商業施設であったり、公共施設であったり、人々の生活に無くてはならないものです。そんな建物をつくることに携われるというのは大きなやりがいを感じることができるでしょう。
- 多くの人に喜ばれる
- 金額が大きい
- 幅広い知識が得られる
大きく上の3つのやりがいを感じることができます。
まず、多くの人に喜ばれます。
建物を建てる土地オーナー(地主)さんが喜んでくれるだけでなく、その建物を利用する人、その建物周辺に住む人にも喜びを与えることができます。(中には建築反対!と運動される方もいますが…)要は街づくりに携われるということでもあります。まさに地図に残る仕事ができます。
金額が大きいこともやりがいのひとつです。
建物を1棟建てると少なくとも数千万円、1億を超えることもよくあります。1件の契約でこれだけ大きい金額が動く仕事は多くはありません。金額が大きいからえらいというわけではありませんが、仕事の重みを感じることができますしそれがやりがいとなります。
仕事を通じて幅広い知識を得られるのもメリットです。
建築、税金、不動産など、生きていく中で必要な知識が得られます。
やりがいがあればモチベーションアップ!
大変なこと
いいことがあれば大変なことももちろんあります。
- 金額が大きい分、責任が重くのしかかる
- ひとつ契約するのに時間がかかる
- 簡単に仕事が取れるわけではない
- 結果が求められる
金額が大きく、失敗が許されない仕事です。金額の間違い、提案内容の正確さ、人間関係が非常に大切になってきます。どれが壊れてもそのプロジェクトを台無しにしてしまう可能性があり、大きな損失を生んでしまうかもしれないプレッシャーがあります。
契約するまでの時間も長く、コンスタントに契約を取れないことは営業としてはつらいかもしれません。
とはいうものの、結果は求められます。
営業があせったところで、土地オーナー(地主)さんは慎重に行動しますし、あせってしまうと大きな失敗をしてしまうこともあります。
土地活用の提案営業まとめ
- 建設会社の工事受注営業
- 地主さんに土地活用・土地有効活用を提案する営業
- 大きな金額が動くやりがいのある仕事
- 地主さんとの人間関係を構築しメリットのある提案をする
土地活用だとか有活の提案営業と聞くとよく分かりませんが、基本は建設工事を受注するための営業職ということです。
大きな金額が動く仕事で、ミスの許されない大変な仕事である反面、やりがいも大きく感じることができます。住居や店舗といった、生活に密接したことを対象とする仕事なので身近にも感じます。